スペシャルゲスト 2016.12.05
初日 : ロンドン The O2 アリーナ
コンサート レビュー
published on 2016/12/06, last update 2016/12/11Review
TweetBABYMETALについて予備知識の無い方にもわかるように基本的な事柄も記載しています。また、ページ公開以降にあきらかになった事柄を元に、内容を一部修正しています。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズのコンサートにBABYMETALがスペシャルゲストとして参加するイギリスツアーがいよいよ始まりました。
全4会場8公演の初日、ロンドン現地時間2016年12月5日の The O2アリーナコンサートのファンカムがアップロードされたので、それを元にレビューします。
長くなってしまったので、冒頭で3つ、まとめを書きます。
【まとめ・その1】
今回は約42分間で全7曲が演奏されました。
これくらいやってくれるならば、2017年1月にBABYMETALがサポートアクトを務めるガンズ・アンド・ローゼズのコンサートに行ってもいいな、と思うべビメタファンも多いのではないでしょうか。遠方の方は交通費や時間もかかるので迷うかもしれませんが、近くであれば、生のBABYMETALを見るために行ってもいいですね。
【まとめ・その2】
最後の曲"イジメ、ダメ、ゼッタイ"が終わったときの歓声がすごかった。新たなファンの獲得につながっていると思います。
サポートアクト、やったほうがいいと思います。
【まとめ・その3】
SU-METALの歌唱がすごかった。すごかったけれど、私としては、力が入りすぎてややバランスを崩してしまったように感じました。特に後半は、気負いすぎだったか?
12月5日 O2アリーナ セットリスト
時間は目安です。若干の誤差はあります
No. | 曲名 | 開始時間 | 備考 |
---|---|---|---|
-- | ナレーション | -- | 映像は無しで、紙芝居の 音声のみ約1分間流れた |
01. | BABYMETAL DEATH | 00:00 | |
02. | あわだまフィーバー | 04:53 | |
-- | 神バンド演奏 | 09:18 | |
03. | Catch me if you can | 11:15 | |
04 | メギツネ | 15:20 | |
05. | ギミチョコ!! | 22:06 | |
06. | KARATE | 28:07 | |
07. | イジメ、ダメ、ゼッタイ | 33:11 | |
-- | See you! | -- | "See you!"を言い終えた のが41:13頃 |
動画を見たい方は、こちら。
https://www.periscope.tv/w/1kvJpqyeBZDxE
上の表に記載した時間は、↑このペリスコープを参照しました。
BABYMETAL DEATHの冒頭20秒が切れているため、上の表の時間から20秒差し引いたのがこのペリスコープの経過時間です。
動画削除されて見れない場合、YouTube や Dailymotionで Babymetal The O2 arena [Red Hot Chili Peppers] periscope 5th December 2016などのキーワードで検索してみてください。
YouTubeやDailymotionに転載されている動画は、若干カットされているらしく、オリジナルより1分程度短いようです。
最後のあいさつ"See you!"を言い終えたのが41:13頃です。冒頭のナレーション約1分を加えると約42分のステージです。
以前からレッド・ホット・チリ・ペッパーズはサポートアクトのことをスペシャルゲストと呼んでおり、今回のBABYMETALもスペシャルゲストとしての参加です。
スペシャルと言うからには、演奏時間が多かったり、ステージ上でコラボレーションがおこなわれるなど特別な配慮があるのか、あるいは一般的な前座として短時間の演奏にとどまるのか、さまざまな予想がありました。結局、約42分で7曲も演奏されたので、BABYMETALファンにはうれしいですね。
セットリストは、2016年BABYMETALワールドツアーの曲目・曲順を踏襲しています。当然、単独コンサートの曲数はもっと多いですが、そこから何曲かカットすると、今回のセットリストになります。
たとえば、ウェンブリーのセットリストから数曲カットすると、"ギミチョコ!!"のみ前後しますが、そのまま今回の曲順になります。
神バンドの演奏、YUIMETALとMOAMETALの歌唱、SUMETALの歌唱、3人のダンスと、BABYMETALの見どころを十分に含んだバランスのよいセットリストです。
しかしあえて言えば、気になることが1点あって、今回の全7曲のうち2ndアルバム「METAL RESISTANCE」の楽曲は"あわだまフィーバー"と"KARATE"の2曲のみということです。
2ndアルバムの評価の話になりますが、厳しい見方をすると1stからの2年間で新たな定番曲と言えるような楽曲をたくさんは用意できなかった、という言い方もできます。
もちろん"THE ONE"や"Road of Resistance"といった大会場向きの曲が2ndにはあるものの、サポートアクトという今回のライブでは披露しにくいという事情もあるでしょう。
作り手は工夫はしているのですが、「名曲」を作るのはむずかしい、ということだと思います。
特に今回は、他のバンドのファンの前でおこなうライブ初日であり、実力と魅力を見せつけたいわけです。そこに、7曲のうち5曲を1stアルバムからもってくるという判断になったことは、気にとめておく必要があると思います。
神バンド
今回のメンバーです。
- ドラム:青山秀樹
- ベース:BOH
- ギター:Leda
- ギター:藤岡幹大
2016年海外コンサートのギターはこれまで大神様こと大村孝佳と、小神様こと藤岡幹大の二人でしたが、今回は大神様が日本でBAND-MAIDのライブということで、Ledaが参加しました。あるいは、始めからそういった役割分担が決まっていたので、大神様が別のスケジュールを入れたのかもしれません。
メンバーに不都合が生じることはありうるので、ギター3人体制というのは危機管理上、重要です。Ledaはベースもできるということなので、ギターとベースについてはバックアップ体制ができているわけです。
今回の演奏ですが、ファンカムの音質でも、十分に素晴らしく聞こえました。
演出
メインはレッド・ホット・チリ・ペッパーズなので、どこまでBABYMETAL独自の演出ができるか不明でしたが、フェスと同等の演出でした。
ステージ後方にBABYMETALのロゴの入った大きな幕(べビメタフラッグ)が張られ、その上下に並んだ複数のライトがステージ前方に向かって時々照射されました。
このライトが見映えにかなり貢献していたのですが、BABYMETAL専用のライトを持ち込んだものだという情報を耳にしました。
あとは、ステージの照明が白い光と赤い光で時々切替えられるくらいでしたが、ゲスト出演であることを考えると、演出自体には不足は感じませんでした。
とは言え、アリーナなので後方の観客にアピールするためにはスクリーンが欲しかったというファンの声がネット上にはありました。

BABYMETALのコスチュームは2016年ワールドツアーで使用した黒を基調としたものでした。
"メギツネ"の冒頭、3人が黒い着物風のコスチュームに身を包み、キツネのお面で入場しました。これは、べビメタ史上初の演出です。着物とお面は歌の開始前に脱ぎました。
ステージに変化を添える演出として有効だったと思います。
黒い着物風コスチュームは、"メギツネ"発表当時に着ていたものによく似ていますが、丈が足首近くまであり長く、帯ではなく脱ぎやすいしくみになっているように見えました。


観客の反応
客席の埋まり具合は、撮影したカメラの位置によってかなり印象が異なるようです。アリーナ後方から撮影した画像では、スタンディングであるアリーナに空白が大きく、観客はステージ前のみに集中しているように見えます。 しかし、ステージ近くで撮影した映像では、その「ステージ前のみ」だけでもかなりの人数であり、数千人いるのではないかと思いました。
他のバンドのサポートアクトです。メインアーティスト登場の1時間前に定員2万人のアリーナが満員になることはありえず、その時点でそれだけの人を集めたのは健闘していると言っていいのではないでしょうか。
会場のノリも最初から比較的良いように見えました。BABYMETALの単独コンサートほどではないものの、1階スタンディングの少し後ろのほうでも曲に合わせて腕を振っている人がいたり、2階席の観客も曲に合わせて体を動かしている様子が見受けられました。
それでも、やはり最初は観客も様子見のところがあったのですが、ライブが進行し"ギミチョコ!!"や"KARATE"のコール&レスポンスになると、観客の歌声もかなり大きく聞こえてきました。
BABYMETAL初見の観客も加わらなければ、それだけ大きな声にはならないでしょう。
また、最後の曲"イジメ、ダメ、ゼッタイ"の終了から"See you!"までの間の観客の歓声もたいへん大きかったです。
今回来場しているのは、基本的にはレッド・ホット・チリ・ペッパーズのファンです。
その中で7曲のライブを終了した時点で、観客からこれだけの歓声があがったということは「成功」と言っていいでしょう。
現地来場者のツイッターは極端な賛否両論に分かれていて、数年前にBABYMETALが注目されたときの状況の再現になっているように見えました。ということは、ヘイターも発生するけれど、BABYMETALに衝撃を受けた人も多数発生したということです。
新たなファンの獲得にサポートアクトは有効だった、と思います。
SU-METALのボーカル
今回のライブで飛び抜けていたのが、SU-METALのボーカルです。毎度ながら声が通り、響きわたっていました。
しかし、気合が入りすぎていたのでしょうか、"メギツネ"以降は「歌いすぎている」ように感じました。
よく通る声が盛大に出ていましたが、高音部や声を張ったときに発声が乱れることが何度かあり、気負いすぎのように感じました。今後のコンサートに注目したいと思います。
あれこれ
今回のレッド・ホット・チリ・ペッパーズのツアーのゲスト出演、そして年明けガンズ・アンド・ローゼズ日本公演のサポートに先だって、ネット上にはさまざまな意見がありました。いまさら他のバンドのサポートをする必要があるのか、など。
コンサート前、私はメリットはあってもデメリットはないと思っていました。BABYMETALの3人は、まだ17歳と18歳。スポーツでも勉強でも、あるいは職人の世界でも、その年齢は伸び盛りです。量をこなすこと、場数を踏むことがプラスになります。
そもそも、他のバンドのコンサートで歌うことは新たなファン獲得につながる。バンド関係者とのコネクションができる。出演料がどうなっているかわかりませんが、多分ビジネスとしても成立している。
「横綱の胸を借りる」という諺がありますが、まだ十代なので妙なプライドも何もなくサポートアクトができるので、できるうちにやっておいたほうがいいでしょう。
そう思っていたのですが、今回のライブが終わって、今まで以上に「特に現時点では、サポートアクトのメリットはとても大きい!」と実感しました。
前述のとおり、今回のライブも大歓声で終了しました。まだまだ開拓の余地はある! BABYMETALのことを知らない人たちに知ってもらう機会を増やしましょう!
単独コンサートは、主催者にとって大変なものです。
来年2017年の活動がどうなるか不明ですが、ライブはフェス出演やサポートアクトに重点を置き時間を確保し、その分をアニメ制作と3rdアルバム制作に力を注いでもよいと私は思いますが、KOBAMETALはどう考えているでしょうか。
by MegaTaro
TweetNote: English pages are coming soon.